保育所・幼稚園・学校における対応
食物アレルギー対応の原則
- 食物アレルギーがあっても原則的には給食を提供する。
- 安全性を最優先に対応する。
- 食物アレルギー対応委員会などで組織的に対応する。
- ガイドライン*に基づき、医師の診断による生活管理指導表を提出する。
生活管理指導表はこれまで診断書(文書料自己負担)であったが、2022年4月より保険適用で発行する診療情報提供書と位置づけられた。ただし、主治医が患児の学校医や園医であった場合は、この限りではない。 - 完全除去対応を原則とし、過度に複雑な対応は行わない。
給食で原因食物の除去対応を行う場合の考え方
完全除去を基本とする
- 家庭で必要最小限の除去を行うことは患者のために重要であるが、集団給食で“食べられる範囲”に合わせて個別対応することは推奨されない。
- 個別対応を行うことで、調理、配膳が非常に煩雑となり、結果的に誤食事故の危険性を高める。このため集団給食では、完全除去を基本とした除去食・代替食対応を行うことが望ましい。
- ただし、調理場の施設・設備や、スタッフの技術・知識などのスキルが十分にあれば、個別対応できると良い。
生活管理指導表の「診断根拠、除去根拠」の捉え方
① 明らかな症状の既往
診断根拠として信頼性が高い。しかし1年以上前の既往の場合は、既に耐性が進んでいる可能性がある。
診断根拠として信頼性が高い。しかし1年以上前の既往の場合は、既に耐性が進んでいる可能性がある。
② 食物経口負荷試験陽性
医師が直接症状を確認しているので、最も信頼性が高い。しかし1年以上前の食物経口負荷試験結果の場合は、既に耐性が進んでいる可能性がある。
医師が直接症状を確認しているので、最も信頼性が高い。しかし1年以上前の食物経口負荷試験結果の場合は、既に耐性が進んでいる可能性がある。
③ IgE抗体等検査結果陽性
食物アレルギーの可能性を示唆するが、確定診断の根拠にはならない。このため、多くの食物に③だけが根拠として書かれている場合は、除去する食物を整理できる可能性がある。
食物アレルギーの可能性を示唆するが、確定診断の根拠にはならない。このため、多くの食物に③だけが根拠として書かれている場合は、除去する食物を整理できる可能性がある。
④ 未摂取
食べた経験がないので、実際にアレルギー症状が誘発されるかはわからないことを示す。
食べた経験がないので、実際にアレルギー症状が誘発されるかはわからないことを示す。
誤食事故の原因と対策
- 保育所の誤食事故の原因の上位は、「誤配膳(44.4%)」、「他の園児の食物を食べた(16.9%)」、「原材料の見落とし(13.7%)」である。平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「保育所入所児童のアレルギー疾患罹患状況と. 保育所におけるアレルギー対策に関する実態調査」報告書
- 集団給食では、上記のようなことが原因で誤食事故が発生していることに留意しながら、各施設の状況に応じて対策を講じ、安全な対応を目指す。
ガイドライン・参考サイト
- ガイドライン
保育所 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン 2019年 厚生労働省 学校・幼稚園 学校のアレルギー疾患に対する取組ガイドライン 2019年(財)日本学校保健会
学校給食における食物アレルギー対応指針 2015年 文部科学省