食物アレルギーの診断
食物アレルギーの確定診断
- 特定の食物摂取によりアレルギー症状が誘発されること(問診又は食物経口負荷試験)
- その食物に感作されていること(特異的IgE抗体・皮膚試験が陽性)
1及び2が確認できれば、確定診断とする。どちらか一方だけでは、食物アレルギーと診断したことにならない。
「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」の診断
- まず適切なスキンケアや薬物療法、環境整備を行い、皮膚症状を改善させる。
- 適切な治療をしても湿疹が改善しない・繰り返す場合には、特異的IgE抗体検査や皮膚試験などを行う。
- それらの結果から疑われた食物について食物除去試験(疑わしい原因食物を1-2週間除去)を行う。この時、授乳中であれば母親の除去も考慮する。
- 食物除去試験により湿疹が改善した場合、必要に応じて診断を確定するために食物経口負荷試験を行う(図5)。
- 母親が原因食物を摂取した後の授乳により児が重篤な症状になることは少なく、母親の除去は不要もしくは加工品程度の摂取はできることが多い。
- 食物除去で症状が改善しなかった場合、速やかに除去を解除する。
「即時型症状」の診断
- 問診では食べたもの、量、調理方法、どのような症状が出たのか、摂取から症状出現までの時間経過、症状を認める前の疑わしい食物の摂取歴、症状の再現性※があるのかなどを確認する。※ 症状の再現性: 疑わしい食物を食べて症状が出ることが複数回あること
- 食物アレルギーが疑われる食物についてアレルギー検査(特異的IgE抗体検査や皮膚プリック試験)を行い、感作が認められていれば診断は確定できる。
- 誘発された症状が疑わしい場合、食物経口負荷試験で確定診断する。
- 微量のアレルゲンで症状が誘発される可能性がある場合、安全性を考慮して少量を総負荷量とした食物経口負荷試験から行う(表4,図5)。
- 学童期以降は口腔アレルギー症候群や食物依存性運動誘発アナフィラキシーとして新たに発症することがあるため、季節性の鼻結膜炎や食後の運動などの有無を確認する。
コラム アレルギー検査
一般に言うアレルギー検査とは、血中の特異的IgE抗体の値を調べる特異的IgE抗体検査、またはアレルゲンに対する皮膚の反応をみる皮膚プリック試験のことである。前者では、卵白10.3UA/mL、ミルク1.2UA/mLなどの数値で、後者では膨疹(皮膚の腫れ)の大きさで評価するが、これだけでは食物アレルギーの診断はできない。